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洋画「理想の女(ひと)」

 オスカー・ワイルドの戯曲「ウィンダミア卿夫人の扇」を、1930年のイタリア社交界に舞台を変えて描く珠玉の人間ドラマ。主演はスカーレット・ヨハンソンとヘレン・ハント。共演に『イン・ザ・ベッドルーム』でオスカー候補にあがったトム・ウィルキンソン。監督は『完全犯罪』で注目を集めたマイク・バーカーが務める。美しい南イタリアの風景や、衣装の数々に目を奪われる。

 最近、邦画でも「アマルフィ」を舞台にした映画を観たばかり。10年ほど前になるが、南イタリアを巡った時にアマルフィを訪れたことがある。山と海岸が近く、住宅は斜面に建ち、道路も狭い。こんな窮屈な街よりもニースやモナコの方が安らげるはずだと思ったものだ。

 1930年、その南イタリアのアマルフィ。この町は世界各国からやって来た上流階級の人々が、ひと夏のバカンスを過ごす高級リゾートとして知られている。そこに、ひと組の初々しいカップルが到着した。ニューヨーク社交界の華として知られるメグ・ウィンダミア(スカーレット・ヨハンソン)と、彼女の夫ロバート(マーク・アンバース)だ。

 地元の社交界の中心人物であるルッチーノ伯爵夫人(ミレーナ・ヴコティッチ)の案内で、町の見物に連れ出されるメグ。若くみずみずしい魅力をふりまく彼女は、たちまちプレイボーイの英国貴族ダーリントン卿(スティーヴン・キャンベル=モア)の目をひくが、彼の口説きのテクニックも、夫を一途に愛するメグには通用しなかった。一方メグの21歳の誕生日に特別なプレゼントを贈ろうと骨董店を訪れたロバートは、そこで魅惑的なアメリカ人女性のミセス・アーリン(ヘレン・ハント)と出会う。ウィンダミア夫妻と同じニューヨークからやって来た彼女は、華やかな恋愛遍歴を重ねるなかで、数々のスキャンダルをたくましく生き抜いてきた女だ。そんなアーリンのアドバイスに従って、純金をあしらった豪華な扇をメグへのプレゼントに選ぶロバート。以来、急速に接近したふたりの仲は、瞬く間に社交界の噂の的になる。その噂を裏付ける証拠をダーリントン卿が見つけたのは、ウィンダミア夫妻の別荘をたずねた時のことだった。何気なく盗み見たロバートの小切手。それは、ロバートがアーリンに多額の金を渡していることを物語っていた。出会いの日以来、メグにかなわぬ思いを寄せていたダーリントン卿は、「もしもロバートが浮気をしたら?」とさり気なくメグにさぐりを入れる。が、ロバートの誠実さを信じて疑わないメグは、自分たちは模範的な夫婦だと答えた。

 社交界にはもうひとり、噂を信じようとしない人物がいた。アーリンの中に、外見の華やかさとは異なる良き妻になる素質を見出し、思いをつのらせるイギリス人の大富豪タピィ(トム・ウィルキンソン)だ。アマルフィの劇場でオペラが上演された夜、アーリンのエスコートを買って出た彼は、帰り道に立ち寄った彼女の別荘で、思い切ってプロポーズの言葉を口にする。しかしアーリンは、「私にとって、結婚は日の射さない部屋と同じなの」と言い、タピィの申し出を断る。誕生日を迎えたメグは、ロバートから例の扇をプレゼントされる。大喜びするメグだが、幸せの絶頂は長くは続かなかった。その日、ロバートが外出したあと、誕生日プレゼントを携えて訪ねてきたダーリントン卿に仕向けられるまま小切手帳を開いたメグは、夫がアーリンにたびたび金を渡していることを知ってしまう。激しいショックにかられ、部屋に閉じこもってしまうメグ。そんな彼女が誕生日パーティの会場に姿を現したとき、集まった人々は域を呑んだ。なんとメグは、アーリンが着ていたのと同じ肌を大胆に露出したドレスをまとって現れたのだ。ロバートに対するメグの様子から、夫妻の間に亀裂が生じたことを察するダーリントン卿。彼から駆け落ちの話をもちかけられたメグは、自分自身の傷ついた気持ちをロバート宛ての書置きに記すと、ダーリントン卿のボートに向かう。だがメグには知る由もなかった。アーリンとロバートのスキャンダルの陰に、自身の出生の秘密がからんでいたことを。

おすすめ度  ☆☆☆☆

原題: A GOOD WOMAN
製作年度: 2004年
監督: マイク・バーカー
上映時間: 93分
キャスト:スカーレット・ヨハンソン、ヘレン・ハント、トム・ウィルキンソン

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