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一枝梅/イルジメ

3年前にヒットしたドラマ全20話、一枝梅/イルジメを見終わる。


イルジメとは中国から朝鮮半島に伝わり語り継がれた古典の義侠的盗賊=義賊で、日本で言えば鼠小僧、海外ではルパンやゾロといった怪盗のイメージだ。過去にはチャン・ドンゴン主演によるドラマをはじめ、アニメや映画化もされ、韓国人にとっては馴染み深い存在。“盗んだあとに梅の花、一枝を残す”ということ粋なやり方で知られ、特に70年代に新聞で連載されたコ・ウヨンによる漫画は大ヒット、一般的なイルジメのイメージを作り上げることとなった。

「昼は市井に暮らす陽気な青年ヨン、夜は父親の仇を探すべく貴族の家に忍び込む義賊イルジメに変身」という≪二面の顔を持つ独創性に富んだキャラクター≫を誕生させたのである。イ・ジュンギ自身もインタビューで「白紙のものに自分なりの様々な色をつけていくことができる。固定のものに縛られず、新しい英雄像を創造できる魅力があった」と出演を決めた理由を語っている。今作のイルジメは唯一無二であり、彼だからこそのキャラクターになっている。

「イルジメ[一枝梅]」が観る者の心を虜にした理由は、その高い物語性とキャラクターの魅力があげられる。父の暗殺現場を目にした衝撃から記憶喪失となり、別の人間として育てられた少年ヨン。13年の時を経てその悲しき記憶を取り戻した彼が、復讐のため、ただ一人悪に立ち向かっていくスリリングな展開は興奮の連続だ。それだけではない。情けないヨンが猛特訓の末、無敵の怪盗になっていく姿が愛らしくかつ痛快で、「英雄とて1人の人間」と感じさせ、共感を誘う。一方、周囲からイルジメが英雄視されることへの戸惑いや、正体を誰にも明かせずない孤独、それを押し殺して悪に立ち向かう姿が切なく、胸が締め付けられる。情けなさと格好よさ、明と暗という二面を併せ持ったヨンという青年に、知らぬ間に釘付けにされてしまうのだ。

  さらに、そんなヨン=イルジメを見つめる2人の女性ウンチェとポンスン、彼を追う羅将シフが繰り広げる切ない恋物語からも目が離せない。正体も知らぬイルジメを想い、同一人物のヨンは煙たがるウンチェの皮肉な愛、ヨンを支えようとするポンスンの一途な愛、「異母兄妹」という世間の目から、ウンチェに対するシフの密かに見守る愛、そしてイルジメであるがゆえに愛する人を傷つけることを怖れ、想いをひた隠すヨンのストイックな愛と、交錯する様々な想いの行方は、韓国でヨンと結ばれるのはウンチェかポンスンかで論争を巻き起こしたほどである。

  また、何より秀逸なのは、ヨンを取り巻く人々の絆、情愛の物語である。特に、物語を根底で支える家族の情愛は心を深く打ち、今作を単なるヒーロー物語以上のものにしている。ヨンの養父セドルが、血の繋がらない息子ヨンに無償の愛を注ぐ姿は心温まり、また涙なくして見られない。これに加え、ポンスンの家族を殺した一味でありながら彼女を育てることになった元刺客のコンガルと、コンガルを実の父親のように慕うポンスンの絆、長年連れ添いつつ上手く思いが伝えられないセドルとタン夫婦の不器用な愛など、様々なドラマを持つ親子・家族の関係とその間に流れる幾多の感情、情愛の物語に、ただただ涙するばかりだ。 正義とは何か? 家族とは何か? そして、愛とは何か? 「イルジメ(一枝梅)」は多くのことを問いかけるドラマである。

おすすめ度  ☆☆☆☆

制作年:2008年
監督:イ・ヨンソク
キャスト:イ・ジュンギ、パク・シフ、ハン・ヒョジュ、イ・ヨンア

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